小説になろうで読んだ小説が面白かったのでご紹介。
本の概要紹介
著者:二日市とふろう (旧名:北部九州在住)
一言でいうとどんな本?
小さな女の子が主人公の転生知識チート物語です。
本の感想
過去にタイムスリップして、前世の知識を使って子供が未来を変える!
ものすごくありふれた設定も1990年代〜2000年代のパラレル日本でやるとこうなるのか、そう驚きました。
私はこの頃、ニュースも新聞もまだ見ていなかった。それでも、当時の空気感は覚えています。
銀行が次々に救済合併されて、何度も銀行の看板が変わったことも。
「20世紀は戦争の世紀だったから、21世紀は平和な世紀になりますように」そんな大人たちの願いがわずか1年でビルとともに崩れ落ちたことも。
この物語を読みながら、当時の日本を振り返ってみると、
- 銀行の破綻、救済合併
- ITバブルの崩壊
- 同時多発テロ
- イラン・イラク戦争
- 狂牛病
- ハンバーガー1個60円と言う超デフレ
- JALの経営破綻
- 消えた年金問題
- リーマンショック
うん、なかなかに詰んでいますね。
主人公の女の子は前世の自分のような人(主人公は派遣切りにあった設定)を生まないようにと、ちっちゃな体で人々の未来を背負いながら必死に手を尽くし続けます。
読みながら、当時を思い出しちょっとギュッと切なくなりました。
「過去に戻って悲惨な未来を変える」それを描こうと思うと、前世をしっかりと書いて、それから転生した今世を書かないと本当の意味で伝わらないのだなと思いました。
この小説の場合、前世は現代日本のため、共通認識があるからわざわざ書かなくても大丈夫になっています。
なので、経験しているアラサー以上の人の方が楽しめる小説になっています。あと、歴史好きな人とか。
ナルニア国物語を映像化するときに、読んだ当時の感覚をその時代を知らない人も共有できるように冒頭の戦争部分に時間を割いたと聞きます。
この小説の場合は、日本現代史を軽く学ぶと、1990年代を知っている人と比較的同じ感覚で楽しめると思います。
歴史を復習してからでないと……なので布教が大変しにくいのが、とても、とても難点なのですが、内政チート物がお好きなら楽しいと思います。
最後に好きなセリフをひとつ。
「ゆっくり休みなさい。
そしてありがとう。
ここからは、大人の仕事だ」
現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変 9月11日 その2
少女に背負わせるものかと必死に踏ん張る大人たちがいることに救われます。
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